英語習得に必要なのは文法理解と意味理解のバランス!
分詞には -ing で表す「現在分詞」 と、その名のとおり動詞の過去分詞を使う「過去分詞」があり、これらは両方とも名詞の前に置かれて、形容詞の役割をします。
例: swimming pool(泳ぐためのプール) / fried chicken(揚げられたチキン)
弊社に寄せられる問い合わせの中には、TOEIC®のPart 5の品詞問題に関して「どうしてこれは不正解なのですか。分詞として考えられますよね。」といったものがあります。
例えばこのような問題。
Please present your ------- ticket.(入場チケットを提示してください。)
(A) admission
(B) admitted
※実際のTOEIC®の問題はもっと長いです。
どちらが正解でしょうか。(A)を選択して複合名詞のadmission ticket「入場チケット」とするのが正解です。
(B)は分詞として考えられそうですが、単純に「そんな表現・単語はないから不正解」です。これについて納得感が得られないというお問い合わせをいただくのですが、TOEIC®はTest of English for International Communicationの略でコミュニケーションに重きをおいています。コミュニケーション上、成立しないものは不正解なのです。
上記の例は「文法的には正しいのにコミュニケーション上は不適切」という例でしたが、反対に「文法的には不適切でもコミュニケーション上は問題ない」というものも多々あります。
例えば状態動詞に関して日本の学校で指導をされているルールもその一つ。動詞には動作動詞と状態動詞があり、状態動詞は「一定の状態を表す」ため、進行形にはできないという文法的な考え方があります。学校の授業で「状態動詞は進行形にできません!」と先生が言っていたことを覚えている学習者はかなり多いようです。
しかし、実は、実際にネイティブの間でよく使われているんです。そのため社会言語学上では問題ないとされています。
例えば、look「~に見える」は状態動詞。文法的にはShe’s looking great! とは言えないということになっています。文法的に正しいのはShe looks great! なのですが、「彼女いい感じ!」という意味でlooking greatは頻繁に使われています。こういった「文法的な考え方では不適切とされているものの、実際には使われている表現」は日本語にもありますよね。例えば日本語の「ら抜き言葉」(例:食べれる)はある程度定着しており、日常的に耳にするようになりました。
言葉は使われていく中で自然と発展していきます。英語も同じで現実に使われている英語を意識して学習を続けていくことが「自然な英語」を身に付ける一つのコツです。
文法的な観点とコミュニケーション的な観点の両方からものごとを見極める力を養っていきましょう。
コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修士号取得。外資系コンサルティングファーム勤務を経てから株式会社アルクと楽天株式会社にてビジネスパーソンの英語教育に従事。さまざまな英語スピーキング試験の試験官資格を有する「英語力評価」の専門家。著書に『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション 』などがある。