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音読による上達法

2023/05/09

「単語が覚えられない」「文法が覚えられない」「リスニングができるようにならない」「勉強しているのに上達を感じない」など、英語学習には様々な悩みが付き物です。これらを一瞬で解決してしまうような魔法はありませんが、身に付きやすい学習法とそうでない学習法はあります。身に付きやすい学習法のひとつが「音読」です。全く新しい概念ではありませんし、音読が大切というのは誰しもが聞いたことがあると思います。しかし、文字のない言語はありますが、音声のない言語はありません。そのため、言語学習をする際に音読による音声化をすることは、効果的なトレーニングとなります。


音読により効果があるのは、発音やリスニングの上達だけでなく、単語学習や文法学習、さらにリーディングの上達にも効果があります。さらに、スピーキング、ライティングにも役立ちます。
たとえば、Thank you very much.やI’m sorry.という表現は、どんなに速く話されても聞き取ることができるでしょう。また、「揚げられた鶏肉」や「美しい花」を正しく英語でfried chickenやbeautiful flowerと言えるはずです。これらは文法を知っているからではなく、音で記憶しているからです。
正しいものを音読すればするほど、脳内には正しい表現のまま音声で残ります。

なお、いくら正しい表現を音読し続けても、スピーキングやライティングにおいて間違えることもあります。この「間違い」とは、「知識のズレ」や「スキルのズレ」のことを指します。正しい英語を聞いたり読んだりする中で、このズレに気づけるようになりますし、音読を進めるなかで、このズレを修正することにもつながります。


ここまでの内容について、掛け算九九を覚える過程を振り返ってみると理解しやすいかもしれません。
掛け算九九は掛け算の表を見ただけで覚えたのではなく、繰り返しの音読を通して、脳内で音声化しているはずです。そして、今でも九九を計算する際には「シチシチ・シジュウク」のように唱えて計算しているはずです。実際に7×7とは、7+7+7+7+7+7+7ですが、頭の中で計算をしているのではなく、「シチシチ・シジュウク」と音を思い出しているだけですね。覚えた音を思い出しているだけのため、間違えないのです。子供の頃は「シチハ・ロクジュウニ」のように間違えたかもしれませんが、これは脳内で音声が入り混じってしまったことが原因です。
ただ、「間違えている」というズレに気づくことができれば、脳内の音声を修正することができます。


音読は正しいものを正しいまま脳内に入れることができ、さらに音声のまま思い出すことができるため、非常に効率の良いトレーニングなのです。また、思い出しやすくなるために、上達を感じやすいというメリットもあります。
めんどくさがって音読をやっていない方は、ぜひ学習に取り入れて効果を感じてください。


早川幸治

SEから英会話講師へ転身。その後、TOEIC対策を中心とした英語セミナー講師として、これまで大手企業からベンチャー企業まで全国約200社以上での研修を担当してきたほか、大学や高校でも教える。脳や心の仕組みを活用した学習法を提唱し、上達の本質を英語学習に応用している。
高校2年で英検4級不合格から英語学習をスタート。苦手意識を克服した後、TOEIC 990点(満点)、英検1級。著書は50冊以上。雑誌連載のほか、企業における学習コンサルティング、セブ島留学TOEICプログラム監修、「英語思考」を用いた日本語プレゼン研修も担当。2011年5月から毎日英単語メルマガ「ボキャブラリーブースター」を配信中。

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