【英語研修お役立ち情報】第4回「効果的な研修の作り方」
研修を設定するだけで自動的に英語学習が促進されるわけではなく、様々な要素を盛り込むことが求められます。
受講者のレベルに合った内容であることは大前提ですが、どんなに素晴らしい研修であっても、研修自体は教材と同様に英語力を高めるためのツールのひとつでしかありません。
このツールを通して、最高の学びの場を作るためにも、「学びの準備」と「学びの流れ」が大切です。その意味では、「効果的な研修」という視点から、「研修の効果を高める工夫」という視点への切り替えをお勧めします。
今回は、ツールである研修の効果を高めるために必要なものの中でも、大きな意味を持つ2つのことについてお伝えします。
1つ目は、英語学習へのマインドセットとして、「英語を学ぶ意味を明確にし、事前に伝えること」です。
第1回のメルマガにおいて、英語学習へのモチベーションが上がらない理由や継続できない理由として、「意味の弱さ」であることをお伝えしました。
「英語を学んでもどうせ使わない」という思いを持っている状態では、英語学習に身が入りません。かつて私は、「英検1級は意味がない」と思っていました。その理由は、「ネイティブでもわからない単語が出てくる英検1級は、取っても意味がない」という話を何度も聞いたことがあったからです。ところが、ある時に出たセミナーで講師の方の話で意識が変わりました。
「『ネイティブでもわからない単語が出てくる英検1級は意味がない』とよく言われますが、新聞やTIMEやNEWSWEEKなどを読む教養あるネイティブであれば、普通に知っている単語ですよ」というほんの10秒程度の説明で、私の中の「英検1級の意味」が変わりました。
研修も同様に、「なぜ自分に英語が必要なのか」が浸透して初めて効果が出ます。英語の必要性については、会社ごとや部署ごとに様々ですから、会社の将来の展望と業務内容を関連付けて伝えることが不可欠です。
2つ目は、学びのスキルを高めるための「研修外の学習機会」です。
ピアノなどのレッスンで考えるとわかりやすいと思いますが、レッスンでの学びも大切ですが、その学びを定着させて伸ばすには、レッスン後から次のレッスンまでの練習量が大切です。この流れは、研修においても同様です。毎週の講座形式の研修であれば、宿題という形で出されることが多いですし、単発の研修の場合は、研修後の取り組みによって結果が変わります。
ここでのポイントは、「何をするかに悩まない計画」です。
「何をするか」に悩んでしまう場合は、「やらない」という選択をしがちです。
そこで、事前に研修外の学習内容を決めておくことをお勧めします。宿題が出る場合には、学習内容は決まっていることが多いですが、自主的な学びに任せる際にも、学習内容を決めておくことで「何をするか」で悩まなくなります。とはいっても、最初に決めた計画が全てうまくいくわけではありません。やりづらさを感じた場合は、学習内容を軌道修正することにより、学習の精度が徐々に高まっていきます。
研修は確実に学びのきっかけになりますが、場を用意するだけで学びがうまくいくわけではありません。
研修の効果を高める工夫を取り入れることで、効果的な研修づくりが実現できます。
次回は「社内にキョウソウ環境をつくる」です。
SEから英会話講師へ転身。その後、TOEIC対策を中心とした英語セミナー講師として、これまで大手企業からベンチャー企業まで全国約200社以上での研修を担当してきたほか、大学や高校でも教える。脳や心の仕組みを活用した学習法を提唱し、上達の本質を英語学習に応用している。
高校2年で英検4級不合格から英語学習をスタート。苦手意識を克服した後、TOEIC 990点(満点)、英検1級。著書は50冊以上。雑誌連載のほか、企業における学習コンサルティング、セブ島留学TOEICプログラム監修、「英語思考」を用いた日本語プレゼン研修も担当。2011年5月から毎日英単語メルマガ「ボキャブラリーブースター」を配信中。