TOEIC初心者がスコアアップするために効果的な勉強法とは?
グローバル人材の需要が高まる中、英語力を身につけたいけどどう始めれば良いかわからない、と感じる社会人の方も多いかもしれません。
TOEICは社会人のビジネス英語運用能力を測る指標として活用され続けています。コロナ禍においてもIPオンラインテストの普及により、多くの企業で引き続きTOEICが英語力測定の指標として利用されています。
新しいタイプの英語力検定テストも開発されているとはいえ、これからもおそらく社会人英語力の判定ツールとして避けては通れないTOEIC。
耳にしたことはあるけど勉強法が分からない、今のスコアに満足できていない。こういった思いを抱く社会人の方々に向けた初心者でも実行できるTOEICスコアアップの勉強法をお伝えいたします。
【目次】
TOEICとは?
TOEICとは「Test Of English for International Communication」の略称で、アメリカのETSというテスト開発機関によって開発された英語コミュニケーション能力測定テストです。TOEICにはさまざまな種類がありますが、一般的に言うTOEICとは受験者数が最も多い、TOEIC L&R (Listening & Reading Tests) のことを指すことが多いようです。TOEIC L&Rとはマークシート方式の一斉客観テストで、リスニング(約45分間・100問)、リーディング(75分間・100問)の2つのパートから成り、合計約2時間で200問に解答する出題形式となります。
テストは英文のみで構成されており、990点が満点となります。日常生活やビジネスで使うリスニングやリーディングなど実用的な英語力を測定する英語検定ですので、基礎英語力を上げたい社会人の方にとって効果的なテストと言えるでしょう。
TOEIC初心者が初回受験で気をつけるべきこと
初回の受験で目指すべき点数は何点?
前述の通りTOEICは2時間で200問を解くという、受けごたえのあるテストです。ただ、蓋を開ければかなりの高得点を狙う人でない限り、全ての問題に解答する必要はありません。全受験者が同一のテストを受験するため、難易度の低い問題も高い問題も混在しています。
英語の初心者の方は、初回の受験ではまず、400点を目指してみましょう。
初回に目標点数を取る対策は?
TOEICスコアは990点満点です。400点を目指すのであれば問題の半数に正解すれば良い計算となるため、自分が解けるレベルの問題を見極め、取れる問題で点数を取る方法がおすすめです。そのためにはある程度TOEICの模擬試験や練習問題を解き、どういった問題が自分にとって解きやすい問題なのかを把握しておく必要があるでしょう。
その際にフォーカスして取り組みたいのは、リスニング問題のパート1&2、リーディングのパート5&6、そしてパート7のシングル・パッセージ問題です。リスニング問題の方がリーディング問題よりもひとつ一つの英文が短いことに加え、使われている語彙も比較的易しく学習しやすいのです。初心者はまずはリスニング問題での伸びが期待できるでしょう。
そして、2回目以降のテスト受験ではTOEIC100点アップを目指したいですね。
残念ながら400点台ではまだ資格としてアピールするのは難しいでしょう。500点台を取得すれば、履歴書に書いてもプラス評価にならずともマイナスにはならないことが多いです(選考する企業や産業によって評価の基準は変動します)。場合によっては、すでに受験をして、スコアの向上を目指している点が評価されることもあります。
TOEIC初心者におすすめの英語学習・勉強方法
ここまではTOEIC初心者が学習初期に目指したいスコアについてお話ししてきました。ここからはその目標スコアに近づくための具体的な勉強方法・対策準備について見ていきましょう。
【TOEIC対策準備①】語彙力を上げる
TOEIC初心者がスコアを伸ばすための初歩ステップは、語彙力を上げることでしょう。残念ながら、TOEICに出てくる単語は学校の授業や受験で覚えた単語とは違います。また、同じ単語でも違う切り口で使われていることが多いため、新たなインプットが必要です。ただ、がっかりする必要はありません。
TOEICのテスト勉強をしながら、実際にビジネスの現場で使われている英単語を学習できるので、これまでのテスト勉強時にふと感じたような「それにしてもこの単語ってあまり使わないだろうなあ・・・」という心配は低いでしょう。
むしろ、ビジネス英語で実際に使われている単語や表現だからこそ、今後実際にライティングやスピーキングで使うことを意識して、コロケーション(語と語のつながり。interested in, get back to you などの決まった語の並び )も単語と一緒に覚えましょう。そうすることでリーディングセクションのパート5・6の穴埋め問題やパート7の一部の問題にも知識を活用することができます。
語彙力向上の具体的な対策法として、1日に単語を7-10個覚えることをおすすめします。一日で完璧に覚える必要はありません。毎日継続的にTOEICの勉強を続けていれば、TOEICの課題単語、中でも頻出語は自然と繰り返し目に入ってきます。同じ単語を異なる背景・文脈で複数回、繰り返し触れることで必然的に覚えることができます。
ここで忘却曲線を思い浮かべてみましょう。ジェットコースターのような急降下カーブの曲線です。学習した20分後には42%、1時間後には56%忘れてしまうという、忘却ペースを表したものです。私たちはたくさんのことを学ぶことができますが、それと同時に学んだことをすぐ忘れてしまうことも事実です。それは決して避けられないものですが、対応策もあります。TOEICの勉強に限らず学習全体においては、忘れる過程で定期的に復習をすることで記憶を強固にすることができるのです。
【TOEIC対策準備②】リスニングの力をつける
語彙力を上げ、認識できる単語が増えてきた段階で、リスニング力に磨きをかけましょう。 初めて聞く英語の文章の理解は難しく、数か月で大きな違いを見るためには努力が必要です。私たちは、第一言語(日本語)習得時においても長い年月をかけて少しづつ理解力を上げてきています。振り返れば、学校の国語の教科書のようにわかりやすく丁寧に書かれた文章を聞いて理解するところから始め、基礎を築いてから、ニュースやビジネス関連など大人向けのものを聞いてすぐに理解できるようになって来たことが思い返されますね。
では、英語の聞き取りに関しても同様の時間がかかるのかといえば、そうではありません。英語に関しては成人として既に持っている理解力、構成認識力など言語以外の能力が使えるため、第一言語取得時程の長い時間をかける必要はありません。コツを知ることで比較的短い期間で上達を図ることができるはずです。
成人学習者の特性から、リスニングにおいては「音声を聞き取る練習」と「コロケーションを知る」の両方のアプローチが必要でしょう。発話によって起こる音の変化やリンキングを音声とスクリプトで具体的に学ぶことは大切ですが、音声の聞き取り力を100%近くまで高めることは成人学習者には簡単なことではありません。一方、コロケーションの知識を増やし、文法知識を整理することで聞き取り力を補填すれば比較的早くリスニング力アップができるのです。
それでは、リスニング力アップのための具体的な方法を見てみましょう。
話の流れから会話シーンを想像する
リスニング音声を聞きながら話の流れをつかむようにしましょう。「誰が(Who)」、「どこで(Where)」、「何のために(Why)」、「何をしているのか(What)」をイメージをしながら概要を捉えます。このトレーニングをすることで、聞き取れない部分があっても慌てずに最後まで聞こうとすることができます。また、映像として脳にイメージを思い浮かべることで解答時に内容を思い返しやすいため、記憶の維持に役立ちます。談話指標を聞き逃さない
談話標識(discourse markers)という言葉を聞いたことはありますか?これは therefore, however, becauseなど、話の流れを示す道標のような単語で、これらを聞き取ることで話の次の展開を予想しながら聞くことができるため、会話シーンの想像がしやすくなります。
【TOEIC対策準備③】リーディング力を上げる
実はリーディングについても前述のリスニングについてと同様、「音声を知る」と「コロケーションを知る」ことが有効です。人は読もうとする文字列を脳内で音声化して理解しています。これは徐々に省力化されるものの、読むメカニズムとしては同じです。例えば、同程度の英語の知識量の人がいたとして、スラスラと読む音声が脳内で再生できる人と、たどたどしい音声しか脳内再生できない人とでは、前者の方が速く読めると言われています。
それでは、リーディング力アップのための具体的な勉強方法を見てみましょう。
音声を聞きながら読む
リーディング学習のためには、できれば音声を聞きながら読むことのできる教材があると良いでしょう。自分なりに読めるだけではなく、さらに流暢に読めるよう、音声のリードでテキストを読む練習ができることが理想的です。スラッシュリーディングを活用する
TOEIC初心者にとって長い英文を理解することはTOEIC勉強中の難題の一つです。しかし、スラッシュリーディングと呼ばれる語と語の切れ目でスラッシュを入れ、内容を英語の語順のまま理解するリーディングテクニックの活用で、長い英文も理解しやすくなります。
例えば、以下の箇所でスラッシュを入れると文章の意味が理解しやすいでしょう。
前置詞 (in, at, of, by, near…) の前
関係詞 (that, which, when, where…) の前
接続詞 (and, but, however...) の前
カンマ ( , ) 、セミコロン ( ; )、コロン ( : ) の後
わからない部分があっても文脈から予測し、内容を捉えます。細部がわからなければ全体像を優先させましょう。前述の通り、TOEICでは満点をねらうのでない限り、全てを理解する必要はないのです。
【TOEIC対策準備④】模擬試験を受ける
模擬試験を受けることはTOEICを知る上でも、本番に備える上でも大変重要です。模擬試験を受けることで自分がどの問題で正解し、どの問題で不正解となるのか知り、対策を立てることが可能です。また、模擬試験での学習を通じて自分の強みと弱みを知ることが重要なポイントとなるでしょう。
TOEIC初心者の方やTOEIC500点未満の方であれば、この問題に何分かける、といった時間配分よりも、どの問題なら解けるのか見抜くことの方が重要です。リスニングであればパート1、2、リーディングであれば前述のパート5・6の穴埋め問題やパート7の一部の問題の中から正解できる問題を増やしていきましょう。どうしても自分の苦手な問題タイプの復習は後回しにしがちなので、たとえば模擬試験を一回分全て正解できるまで解き直す、といったルールを自分に課すのも良いかもしれません。
そして、徐々に自分の得意なパート、苦手なパートを見極めて取り組んでいくことで効率的にTOEICスコアアップの勉強ができるでしょう。
TOEICの勉強を習慣付ける
TOEICの勉強は毎日することが理想的です。記憶力の定着のためには、学習間隔を空けないことが大切だからです。3日前に学習したことを思い出すのは大変ですが、昨日の学習内容ならば楽に思い出せるので気分も向上するでしょう。期間を空けないことで、作業の再開時の負荷もがぐっと低くなるため、メンタル面にも好影響を与えます。
先に述べた忘却曲線と復習について思い出してみましょう。例としては週末に5時間まとめて学習をするより、毎日1時間ずつ学習をする方が効果が高いのです。空き時間を利用して英語学習を継続できることが理想です。
まとめ
ここまで社会人TOEIC初心者に向けた効率的な勉強法・学習ポイントについてお伝えしてきました。TOEICスコアアップにはリーディングスキルとリスニングスキルの双方を伸ばす必要があります。そのためには「音声の認識」と「コロケーションを知る」ことを意識した語彙力の向上が第一のステップとなります。
最後に大切なのは、自分の英語力のどの分野を強化したらTOEICスコアが伸びるのか見極めることです。英語の4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)はどれも相互に関わりがあり、どれか1つの力が弱いと他の技能の足を引っ張ってしまいます。
弱点をアドバイスしてくれる講師がついていない場合や学習プログラムがない場合は、問題や模擬試験を利用して自分の英語力の強みと弱みを知り、効果的にTOEICの学習をすすめていきましょう。