知っていますか?afterは「~後」の意味ではありません!
タイトルを見て「え?afterって『後』の意味じゃないの?」と思った場合、もしかしたら適切な用法を理解しきれていないかもしれません。
この記事で、ぜひニュアンスの理解を深めてください。
afterの意味は「~の出来事・行動のあとで」。この概念が非常に大切です。
何かの出来事や行動「のあと」について述べるときにのみ使えます。つまり、なんらかの出来事や行動に関する言及がないと、afterは使えないのです。例えば、誰かとの別れ際に「1週間後に会いましょう!」と言って別れたいときは、今の行動や出来事について言及してからこの発言をしていないのでafterは使えません。 では何を使うのか。inを使います。
1週間後に会いましょう!
[誤表現] I’ll see you after a week!
[正表現] I’ll see you in a week!
日本人がこのafterの意味で混乱しやすい理由は2つあると思います。
理由1: afterが使われている文の日本訳で「の」を省略できることが多いから
例えば、この英語を訳すときに「の」を省略できます。
Let’s eat after we take a bath. (入浴後に食事をしましょう。)
ついつい、こういった訳をするので「後」という場合にはいつでもafterを使えると思いがちです。しかし、この文ではafterは「行動・出来事」のあとについて言及する場合、というルールに合っているから使えるのです。くどい訳を付けるなら、「入浴という行動のあとに食事をしましょう」となります。だからこの場合はafterが使えるのです。
理由2: いろいろな教材の例文がわかりづらい
教材や辞書を見ていると、用法を明確にしていない文を見かけます。例えば『研究社 新英和中辞典』にはこんな例文と訳文があります。カッコ内に注目してくださいね。
I reached London after 2 days and Jim arrived 3 days after.
(私は(ある出来事の) 2日後にロンドンに到着し, ジムは(それから) 3日後に到着した。)
書面の関係でだと思いますが、カッコで適切な用法であることを示そうとしています。ただ、この文は、本来はこれだけでは成立しないのです。カッコ内にある「ある出来事」についての話があったあとにこの文を言うから、聞き手が理解できる文です。例えば、会話や文章においてはThere was a marathon in London last week. I reached there after 2 days and Jim … のように続き、マラソンのあった日の2日後にI「私」が到着したことが伝えられます。
以下のように日にちを加えて出来事を具体的に整理すると、本来の用法がわかりやすいでしょう。
Kate reached London first, on May 1. I arrived after 2 days, and Jim arrived 3 days after.
では問題です!
「私」がロンドンに到着した日付はいつでしょう?Jimが到着した日付はいつでしょう?
ヒント: afterは1つ前の出来事を起点にします。
答え:Kateは5月1日にロンドンに到着しました。
I「私」はKateの到着した2日後に到着したので、5月3日に到着しました。
Jimは「私」が到着した3日後に到着したので5月6日に到着しました。
まとめ
afterを文で使うときは、起点となる出来事や行動があるか確認しましょう。ない場合は、afterを使わずに表現するか、または起点となる出来事や行動について言及しましょう。
See you later!(あとでね。)
※ 起点となる出来事や行動がないのでafterを使えない
I’ll see you after I finish my piano lesson.(ピアノレッスンのあとで会おうね。)
※起点となる「ピアノレッスンが終わる」という出来事があるからafterが使える。
簡単なようで混乱しやすいafterの使い方、ぜひマスターしてくださいね。
コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修士号取得。外資系コンサルティングファーム勤務を経てから株式会社アルクと楽天株式会社にてビジネスパーソンの英語教育に従事。さまざまな英語スピーキング試験の試験官資格を有する「英語力評価」の専門家。著書に『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション 』などがある。