「アメリカに駐在予定の人にTOEICなんて役立たない」のウソ・ホント
「TOEICは役立たない!」という声をよく聞きますが、このことについて、現在アメリカにいる私が思う「ウソ・ホント」についてお話しします。
「TOEICなんて役立たない」のウソ
TOEICの内容は役立ちます。特にTOEICに頻出の返品交換やちょっとしたトラブル対応の内容は非常に役立ちます。日本人の感覚としてはTOEICの世界観は「イレギュラーなことが起こりすぎている」といったところでしょうが、アメリカではイレギュラーなことが起こるのは日常茶飯事。
私は現在、カリフォルニアに拠点を作ろうとしており、その過程でいろいろなネットショッピングをしています。アメリカの配送事情は非常に悪く、破損は珍しくありません。実際に破損されて届いたものは約半数。配送物の中に入っていたコピー用紙はこの状態で入っていました。日本の常識で考えると誰も信じてくれないと思いますが、本当です。

このようなものを受け取ったら、追加で新品を送ってもらうか全額返金をしてもらうためにメールやチャットで連絡をします。TOEICで返品交換などについてCustomer Supportとやり取りしている文面を見た覚えはありませんか?しばらくアメリカにいればTOEICで見かけるような会話をそのまま経験できます。
ちなみに飛行機もよく遅れます。遅れるのみならず突然キャンセルされますので、ホテルを取り、立替えた宿泊費の返金を求めるといった作業が必要になることも。先週末、アメリカ在住の日本人の友人がワシントンDCに遊びに行き、帰りの便が当日キャンセルになり、もう1泊してくることになりました。返金対応や職場に連絡を入れたり、バタバタしていました。こういったTOEICでおなじみのやりとりをする可能性は極めて高いので、TOEICは役立つと言えるでしょう。
「TOEICなんて役立たない」のホント
TOEICの英語はきれいすぎます。学習者向けに作られたテストなので、使用表現を限定し、難易度がコントロールされていますし、英語表現も美しい英語のみです。そのためTOEICの英語だけを完璧に理解できていても、それだけでは力が足りません。
実際の電話やチャットでは担当者がさまざまな英語を話します。インド系の英語はアクセントにかなりの癖がありますが、電話口で言われていることを理解しなくてはいけません。また、黒人の英語も独特のアクセントと文法です。日本では「間違い」として習う英語も使われています。例えばIf I was you 〜. は日本のテストでは「間違い」として採点されます(正: If I were you 〜)が、これは黒人など一部のネイティブにとってはれっきとした「正しい英語」です。こういった馴染みのない英語にも瞬時に対応できる力が必要です。そういった意味で、「TOEICが満点でもアメリカで苦労するんだから、TOEICは役立たない!」というのは「ホント」です。
TOEIC学習について思うこと
TOEICの英語は限定的ではありますが、それでも私は基礎力アップのためにTOEICを役立てるのはよいことだと思います。やみくもに英語を学び続けるよりも、自分の力を数値化して可視化するのは有意義です。また、“「TOEICなんて役立たない」のウソ”でお伝えしたようにTOEICの場面設定は実際のアメリカの様子をよく表していると思います。「TOEICなんて」とバカにせずTOEIC学習に取り組んでいただければと願っています。

コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修士号取得。外資系コンサルティングファーム勤務を経てから株式会社アルクと楽天株式会社にてビジネスパーソンの英語教育に従事。さまざまな英語スピーキング試験の試験官資格を有する「英語力評価」の専門家。著書に『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション 』などがある。