ナレッジとスキル
どの言語を学習するにも、聴く(Listening)、話す(Speaking)、読む(Reading)、書く(Writing)の4つのスキルを身に付けなければなりません。しかし、そのスキルを身に付ける前に、学習する言語に関連したナレッジ(知識)が必要です。このナレッジとは、文法(Grammar)、語彙(Vocabulary)のことです。英語習得のためには、ナレッジとスキルの関係を理解することから始めましょう。
上図が示すように、ナレッジが英語の4つのスキルを上達させる基本となります。木で例えると、文法、語彙等の栄養素をたくさん吸収し、立派な木にしていくことが英語の上達となります。初めて英語を学習する人々は全く知識がありませんから、文法、語彙等を学習しながら同時にスキルを上達させていきます。この知識の部分の習得度で、各スキルの上達度も変わってきます。
スキル向上に向けて、文法の理解、語彙力は必須です。
高校までに習得すべき英文法や基本語彙は必ずマスターしてください。
また、4つのスキルは受信スキル(Receptive Skills)と発信スキル(Productive Skills)に分類できます。この受信スキルを上達させることで発信スキルも伸びていきます。
例えば、日本語で考えていきましょう。
日本語での日常会話は、聴くことも話すこともできますが、日本語で書く場合は正しい漢字を使って書けるでしょうか。私たちは日本語で書かれた文章の漢字はほとんど読めるし理解できます。しかし、それを手紙などの紙面に書こうとすると、適切な漢字が思い出せないことがよくあります。
これが英語であれば、毎日使っているわけではありませんから、聴けるけど話せない、読めるけど書けない、ことが頻繁に起こります。
コミュニケーションは言葉のキャッチボールです。言葉を受けとめたら、言葉を返してあげなくてはなりません。
そのため、英語学習では、聴くと話す、読むと書く、という受信スキルと発信スキルの両方を上達させることが重要です。
次回からは、具体的なスキル別習得方法に入ります。
サンフランシスコ州立大学大学院英語教授法で修士(MA/TESOL)を取得後、日立外国語研修所、日立総合経営研修所などのマネージャを歴任し、2011年より日立グループコーポレイト施策若手海外派遣プログラムの企画・運営マネージャをつとめ、毎年1000名の若手人財を様々な海外プログラムに派遣した。日本では数少ないATD (formerly, ASTD)* トレーナー資格も有している。日立を定年退職後は、著名大学の非常勤講師として英語や異文化を教えている。社会活動は、NGO生命の碧い星理事(国連担当)として2020年まで活躍。2005年、2010年、2015年の国連欧州本部での青少年による平和の提言の司会や学生のスピーチを指導。
*Association for Talent Development (formerly, American Society for Training&Development)