学習スタートにあたっての注意点
飛行機のパイロットが最も集中するのが離陸時と着陸時だと言います。事故が起こる70%が離着陸時に起きていると言い、離陸時の3分間と着陸時の8分間を合わせて「魔の11分(Critical Eleven Minutes)」と呼ばれています。学習においては離陸時、つまり開始時が最も重要です。今回は、学習スタート時に気を付けることについてお伝えします。学習には着陸はありませんから、気流に乗ってしまえばこっちのものですね。
まず、最も大切なことは「現在地を知ること」です。特に英語が苦手な方は、「どうせできないし・・・」や「中学英語からやり直すなんて嫌だ・・・」と思ってしまうかもしれません。「テストはできるようになってから受けたい」という気持ちもわかります。しかし、現在地がわからないことには効果的な学習を進めることができません。カーナビであっても、目的地までの効果的な行き方を出すためには、現在地が基準となります。まずはテストなどで現在地を確認することで、適切なスタートを切ることができます。
また、モチベーションが上がった時こそ要注意です。「よし、やるぞ!」という気持ちになった時、目標を高くし過ぎたり、難しい教材に手を出したりしがちです。あくまでも、「現在地」を基準に現実的なレベルからスタートすることをお勧めします。なお、現実的なレベルについては、英語学習からだいぶ離れていたという方は、「教材を読んでみてすぐに理解できるレベル」がよいでしょう。実力よりも少し易しいレベルから学習をスタートすることで、飛行機の滑走と同様に上達の助走とすることができます。
最後に、三日坊主を防ぐために、学習スタートにあたってスケジュールを明確にすることが大切です。「モチベーション」や「意志の力」によって継続できるわけではなく、「いつ」「どこで」「何をする」というスケジュールがあることによって継続できます。スケジュールの立て方は、「7時から単語学習」のように「時間と内容」でもよいですし、「朝トイレから出てきたら単語学習」や「午後の仕事を始めるまえに単語の復習」のように「前後の行動の流れと内容」でもよいでしょう。ご自身の生活や仕事に合わせたスケジュールを組んでみてください。
学習を進めていく中で、スケジュール通りに行かないことも出てくるかもしれません。飛行機も、乱気流や突発的な天候、空の混雑状況などにより経路通りに飛べることはほとんどありません。大切なことは、無理やり経路を守ることではなく、その都度軌道修正をかけることです。日々の生活や仕事の中でスケジュールが変わったり、内容が難しくて理解できなかったりということは発生します。その場合は、スケジュールを変えたり、教材を変えたりといった軌道修正をかけることで、無理のない学習スケジュール&学習内容を見つけてください。
SEから英会話講師へ転身。その後、TOEIC対策を中心とした英語セミナー講師として、これまで大手企業からベンチャー企業まで全国約200社以上での研修を担当してきたほか、大学や高校でも教える。脳や心の仕組みを活用した学習法を提唱し、上達の本質を英語学習に応用している。
高校2年で英検4級不合格から英語学習をスタート。苦手意識を克服した後、TOEIC 990点(満点)、英検1級。著書は50冊以上。雑誌連載のほか、企業における学習コンサルティング、セブ島留学TOEICプログラム監修、「英語思考」を用いた日本語プレゼン研修も担当。2011年5月から毎日英単語メルマガ「ボキャブラリーブースター」を配信中。