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「ビジネスに役立つビートルズの交わした会話」パート10

2023/11/08

英語圏の人は、自分の意見をしっかり持ってはいますが、人に不快感を与えないように意外とオブラートにくるんだ話し方をします。そのため、ズバズバ言うのだろうと先入観を抱いた日本人が、意図せず失礼な言い方をしている場面に、アメリカで何度も遭遇したことがあります。『ロード・オブ・ザ・リング』でもおなじみのピーター・ジャクソン監督が手掛けたドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』から、今回は人を傷つけないような言い方をみてみましょう。

スタジオで曲作りをしている最中のビートルズ。ジョン・レノンがポール・マッカートニーに次のような提案をします。

ジョン:We'll write some more, should we? (ちょっと書き足した方がいい?どう?)

この文をもっと直球な言い方に直すと、 “Let’s write more.” になりますが、有無を言わさず「もっと書こう」と言っているように聞えます。職場の会話で “we”は、チーム・ワークを強調した魔法の言葉です。また、“some”もネイティブは頻繁に使います。最近は日本でも、気を遣って「ちょっと」の言葉がよく使用されるそうですが、それと似た感覚で使われます。

“should we?”(~した方がいいですか?)は、 “We'll write some more”(もうちょっと書きます)を受けています。同じ意味の “shall we?”で置き換え可能です。アメリカで “shall we?”は“should we?”よりもフォーマルで、より強制力のある言い方だとされていますが、普段の会話では言葉よりも雰囲気で意味を感じ取る場合が多いので、使い分ける必要はないです。

ジョンの提案にポールは、以下のように返答します。

ポール: That's a possibility. I suppose. (それもありだね。たぶん)

提案を否定はしないけれど乗り気でもなく、 “No”は相手を傷つけるので「いいかもね」と言っています。ビジネスの場で “That’s a possibility.”(それも可能性としてありですね)は、イエスかノーか判断に困り、提案に対する返答をペンディングさせたい場合に使うのにもお勧めです。

逆にフォーマルな場であまりお勧めできないのが、 “I suppose~.”のように文頭ではなく、ポールのように単体で使う “I suppose.”(たぶんそう思う)です。曖昧で自信の無い印象を与えてしまいます。より曖昧でカジュアルな “I guess.”も避けた方が無難です。

朝日順子

著書に『ビートルズは何を歌っているのか?』『クイーンは何を歌っているのか?』『ルート66を聴く-アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか-』がある。洋楽歌詞解説者としてNHK-FM「ディスカバー・クイーン」等に出演。フジテレビ系「関ジャニ∞クロニクル」(英会話伝言ゲーム等)の製作・英語監修、関ジャニ∞「All You Need Is Laugh」の歌詞監修と特典映像の制作・出演もしている。上智大学文学部英文学科卒。米国10年、中国4年滞在。

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