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「ビジネスに役立つビートルズの交わした会話」パート11

2025/10/31

日本人に比べて英語圏の人は、自分がいいと思った時は、はっきり口に出すように思います。カルチャーが異なるだけでどちらが良い・悪いという訳ではないのですが、海外の人に「何を考えているか分からない」と思われないために、ポジティブな感想はどんどん口に出したいものです。

そこで参考になるのが、『ザ・ビートルズ:Get Back』です。このドキュメンタリー映画を観ていると、プロデューサーのジョージ・マーティンは理想の上司No.1なのではないかと思ってしまいます。今回はビートルズの演奏した曲を褒めちぎった後で、「もっと他には?」とやる気を引き出す、マーティンの巧みな会話をみていきましょう。

ジョージ・マーティン: I love that song. That's beautiful. I couldn't have asked for better. Can we have something else now? (最高の曲だ。素晴らしい。これ以上のものはない。それで、他にもある?)

“love”と”beautiful”はネイティヴの会話に非常によく登場します。英語のコミュニケーションでは、日本の感覚よりもやや大げさな表現をするとしっくりきます。日本人の感覚で”like”の時に、”love”を使うといった感じです。ビジネスの場で相手がいいアイディアを出したら、”I love that idea”(素晴らしい案ですね)と褒めてあげましょう。”beautiful”は、見た目の美しさ以外にも様々なケースで使われます。誰かがいいプレゼンをしたら、後で”That was beautiful.”(とても良かったですよ)と褒めてあげるのもいいでしょう。

“I couldn't have asked for better.”は、「これ以上望めないくらいに良い」の意味で、満足した状態を表しています(”better”の代わりに”more”が使われる場合もあります)。“I couldn't have asked for a better song.”(これ以上良い曲は望めないくらいに良い)の”song”が省略されています。

日本人の感覚だと褒めちぎり過ぎのように思えますが、その後で間髪入れず「他にもある?」と聞くマーティンはさすがです。さらに、”Can I~?”では高圧的になるところを、”Can we~?”とチームワークを強調するところが、理想の上司ではないかと思わせる所以です。

朝日順子

著書に『ビートルズは何を歌っているのか?』『クイーンは何を歌っているのか?』『ルート66を聴く-アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか-』がある。洋楽歌詞解説者としてNHK-FM「ディスカバー・クイーン」等に出演。フジテレビ系「関ジャニ∞クロニクル」(英会話伝言ゲーム等)の製作・英語監修、関ジャニ∞「All You Need Is Laugh」の歌詞監修と特典映像の制作・出演もしている。上智大学文学部英文学科卒。米国10年、中国4年滞在。

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