無生物主語について
こんにちは。今日はcoooriのe-learningシステム上で学習されている方からよくいただく無生物主語についてです。
無生物主語とは?
無生物主語とはその名のとおり、人間や生き物ではない主語のことです。無生物主語に関する質問は、受動態に関する質問とセットでいただくことが多いです。「無生物主語のときは受動態を使うのではないのですか」という質問を受けます。今までの英語学習において、どこかのタイミングで「無生物は他動詞の主語にならない」と勘違いをしてしまったようです。
結論から言うと、無生物主語は能動態でも受動態でも使います。能動態で使うことのほうが多いです。
無生物主語のときは受動態を使うのではないのですか?
質問はかなり多くいただきますので、もしかしたら、学校教育において、簡易的に「人が主語ではないからここでは受動態」という解説をしていることがあるのかもしれません。しかし日本語で考えても無生物主語が能動態になるということはわかりやすいと思います。
日常生活でこんな文を日本語で言うことはありませんか。
スマホのアラームが鳴った。(The alarm on my smartphone went off.)
日本語でも英語でも無生物主語の「スマホのアラーム」が「鳴った」と言えます。もちろん自主的に鳴ったのではなくて、セットされていたから鳴ったわけですが、「鳴らされた」という受動態は使いません。 日本語で「今日は9時に店が開いた(開いていた)」や「パソコンが壊れた」「花が咲いている」など、無生物主語であっても、能動態を使います。英語も同様です。
このように、無生物主語を能動態で使うことは多々あります。
The flood caused a lot of damage. (洪水はたくさんの被害をもたらした)
The new product meets the requirements. (新製品は要件を満たしている)
もちろん無生物主語を受動態の文で使うこともできます。
The car is being repaired. (車は今、修理されているところだ)
This product was discontinued last year. (この商品は去年、製造中止になった)
つまり、無生物主語と人物、生き物の文の作り方はなんら違いはなく、何を伝えたいのかを元に文を作ります。能動態の文のほうが圧倒的に多く、受動態は意図的に使います。自分の伝えたいメッセージが何なのかをよく考え、能動態で表すのが適切か、受動態で表すのが適切か判断しましょう。 ※受動態に関する記事もご参照ください。
コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修士号取得。外資系コンサルティングファーム勤務を経てから株式会社アルクと楽天株式会社にてビジネスパーソンの英語教育に従事。さまざまな英語スピーキング試験の試験官資格を有する「英語力評価」の専門家。著書に『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション 』などがある。