語学の近道:インプットはアウトプットしながら!
みなさん、今まで何時間英語を学習してきたと思いますか。
中学校と高校だけでも1500時間ほど学習をしています。
今では小学校から英語教育が始まっていますので、学校で提供される学習時間は英語をネイティブレベルに近いレベルまで習得されるのに必要とされている2000時間に限りなく近づいています。
ところが、今のまま時間数だけを増やしても、たいして成果は変わらないのではないかと私は思っています。
理由は日本の教育制度では最短距離を行くインプットの仕方ではないから。赤下敷きに単語カード、それに加えて近年はアプリの利用。これだけで本当に英語が身に付くのでしょうか。文部科学省はCEFRでB2レベルまで到達する人材を増やし、グローバル社会に対応しようという目標を掲げ、学習時間数を増やしていますが、英語の授業の取り組み方そのものはたいして変わっていません。
会話の時間が増えたり、ネイティブ講師の配置が増えたりはしていますが…本当は学習法を変えなくてはいけないのではないだろうかと、思っています。
学習時間を増やすよりも、やらせる内容を変えるだけで大きく英語力は伸びると思う根拠はインプット→インテイク→アウトプットの理論で説明されています。これについて次回説明しますね!
理論の前に、私の経験についてお話させてください。
私はわずか3年間、アメリカの大学でゼロから中国語を学びました。漢字が分かるので、アメリカ人の友達よりはスタートダッシュをすることができましたが、3年間学んだあとは、テストのスコアで私を抜いているアメリカ人クラスメイトがたくさんいました。漢字を初めて目にして、漢字の横棒の数、縦棒の数をみんなで数えていたような子たちが、CEFRのB2/C1レベルまでわずか3年間で到達しているのです。
これは天才たちの話ではなく、真面目に学習した大学生たちの話です。
私の学習成果はVersant 59点、ACTFL OPI Advanced Lowの判定でした。日本人の目指すB2を超えています。わずか3年で、です。授業時間数は毎週4時間。日本の高校生の英語学習時間とほぼ同じです。
日本の学生と何がそんなに異なるのか…?
語学の取り組み方です。
毎週宿題が出ていましたが、宿題は基本的にインプットするものをアウトプットすることでした。
つまり、教科書を音読している音声の提出と1年目は教科書の丸写し、つまり写経のようなものを提出させられていました。1年目はひたすらインプットをするわけですが、目で見れていれば良い、聞いていれば良い、といったものではなかったわけです。自分が真似てできていなかったらインプットは完了していると認められなかったのでひたすら口を動かし、手を動かすような宿題が課せられていました。3年目には図にあるような小論文を毎週書かされていました。もちろん教科書で学んでいる文型を織り交ぜて書いています。
このように、毎週インプットしているものをアウトプットにつなげていれば、確実に力はつきます。
今日から、インプットの方法を変えませんか。インプットすべき単語を使って文を書く、インプットするために聞いている音源を自分も言い、完璧に言えるまで録音し続ける。そんな地味な努力で確かな英語力が身に付きますよ。
次回は上記の私の体験を理論的に説明します。「インテイク」がキーワードです。お楽しみに。
コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修士号取得。外資系コンサルティングファーム勤務を経てから株式会社アルクと楽天株式会社にてビジネスパーソンの英語教育に従事。さまざまな英語スピーキング試験の試験官資格を有する「英語力評価」の専門家。著書に『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション 』などがある。