主語と動詞の一致
英語の文法ルールの一つに「主語と動詞の一致」というものがあります。主語の単数と複数に着目し、動詞の形を合わせなくてはいけないというルールです。
例:
The chair is over there. (1つの椅子があちらにあります。)
The chairs are over there. (複数の椅子があちらにあります。)
chairは単数なのでbe動詞はisを使い、chairsは複数なのでbe動詞はareを使います。このような簡単な問題はTOEICの文法問題には出ません。しかし間違いやすい主語と動詞の一致に関する問題が出題されます。主に以下の2つが英語学習者にとって「難易度が高い」と感じられるようです。うっかり間違わないように完璧に理解しておきましょう。
◆単数か複数か混乱しやすい単語
以下の単語やフレーズは単数として扱われます。
nothing, everything, anything, something, no one, everyone, anyone, someone, neither, either, each
例:
Everyone is attending the training session. (全員が研修に参加します。)
No one is attending the training session. (誰も研修に参加しません。)
Neither of my parents is interested in art. (私の両親はどちらも美術には興味がありません。)
以下の単語やフレーズは複数として扱われます。
all, 対で使われるイメージの単語 (trousers, pants, scissors, glassesなど), 複数形で単語が変わる不規則名詞(children, people, media, criteria, data, agendaなど)
All employees are invited. (すべての従業員が招待されています。)
These pants are too big for me. (このズボンは私には大きすぎます。)
The data were collected through a survey. (データはアンケートを通して集められました。)
◆主語と動詞が離れている場合
このタイプの問題はTOEICでもよく見かけます。誤答である理由が「主語と動詞が一致していないから」という出題パターンです。
どんなに主語と動詞の位置が離れても、主語と動詞を一致させる必要があります。
例:
Everyone is attending the training session. (全員が研修に参加します。)
Everyone from my department, no matter their role, is attending the training session. (いかなる役職であっても私の部署からは全員が研修に参加します。)
All employees are invited. (すべての従業員が招待されています。)
All of the employees from the New York office are invited to join the marathon event. (ニューヨークオフィスに所属するすべての従業員がマラソンイベントに参加するよう招待されています。)
このようにどれだけ修飾語(例文の青字)が増えても、主語を見極めて、動詞を一致させる必要があります。
では問題です。空所に入る単語はどれでしょうか。
------- of the doors has been locked.
- All
- One
- Every
<解き方>
まず、動詞に注目します。動詞はhasなので、単数の主語と使う動詞です。選択肢のうち、単数扱いなのは2のOneと3のEveryですので、1のAllは誤答とわかります。2と3のうち、”of the”が続くことができるのはoneです。空所にoneを入れるとOne of the doors has been locked.(ドアのうちの1つは施錠されました。)となり、文意がとおり、正解です。
なお、Everyのあとには”of the”を続けることができないため、不正解。正しい文にするためにはEvery door has been locked. とする必要があります。doorsがdoorと単数に変わる点も重要です。one of the doorsのようにoneが使われる表現は「たくさんあるもののうちの1つ」を意味するため、「たくさんの」を表現するためにdoorsのように複数形を使います。Everyのあとに続けられるのは単数形の名詞のみです。
<正解> 2. One
主語と動詞を一致させないといけないという文法ルールは英語ではsubject-verb agreementと呼ばれ、ネイティブであっても国語の授業で時間をかけて指導を受けます。主語と動詞が離れているときに主語を見失わないように注意しましょう。
コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修士号取得。外資系コンサルティングファーム勤務を経てから株式会社アルクと楽天株式会社にてビジネスパーソンの英語教育に従事。さまざまな英語スピーキング試験の試験官資格を有する「英語力評価」の専門家。著書に『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション 』などがある。