【TOEICリスニング対策】パート別攻略法で確実にスコアアップ
TOEICスコアアップをするために、最も手っ取り早く初心者でも点数を上げやすいと言われるリスニングパート。ETS(TOEICを制作するアメリカのテスト開発機関)発行の資料でも確認できるのですが、日本だけでなく世界の他の国や地域でもリスニングの点数の平均点はリーディングの点数の平均点を上回っています。
その理由として、リスニング問題は話し言葉の分量が多く、各英文が短いうえ、使われている語彙や文型も比較的易しくシンプルなことから、英語初心者でも学びやすく英語に慣れることに適していることが上げられます。
これからTOEICを初めて受ける方、過去に受けたことがあるが中々点数が伸びないという方はまずはリスニング問題を攻略することでスコアアップを目指しましょう。
【TOEICリスニング対策①】各パートの特徴を把握する
TOEICリスニングのスコアアップをするためには、リスニングパートの問題形式や構成を理解することが大切です。リスニングセクションは4つのパートから構成されており、それぞれのパートで会話や説明文を聞き取り、聞き取った内容に関する問題に対し選択肢から最も適切な答えを選ぶマークシート式になります。TOEIC公式テストではリスニングセクションは100問で成り立っていて、45分間の時間内で解答する流れになっています。各パートはそれぞれ異なる問題数で構成されており、パート1が6問、パート2は25問、パート3は39問、パート4は30問あります。
それでは、各パートの特徴を見ながら対策時のポイントを見ていきましょう。
パート1:写真描写問題
TOEICリスニングパート1は、問題用紙の写真が一つ掲載されており、それを最も正確に描写している音声を4つの中から選ぶ写真描写問題です。
大きく分けて写真のパターンは「人物が一人」「複数の人物」「人物のいない風景」の3つです。人物がメインであればその人物の動作に注目し、複数の人物であればお互いの位置関係や動作の関連、人物のいない風景であれば風景の構成要素の位置関係に注目します。
■パート別対策ポイント■
気をつける点としては、写真を最も端的に表現した選択肢を選ぶことです。憶測による選択は間違いを引き起こしてしまうケースがほとんどです。写真の中のオブジェクトや行動をダイレクトに語った選択肢を選ぶようにしましょう。また、このパートのリスニング対策として有効な文法の代表が、「〜されつつある」という表現の現在進行形の受動態と「〜された(そしてその行為は終了している)」という表現の完了形の受動態です。
以下の例で現在進行形の受動態と完了形の受動態の意味合いの違いを見てみましょう。
A: The tables are being set up on the terrace.(テラスにテーブルが用意されている最中だ)
B: The tables have been set up on the terrace. (テラスにテーブルが用意されて(その作業は)完了している)
Aのように写真に掲載されているオブジェクト(the tables)を主語に「〜されている(最中だ)」の意味の選択肢と、「〜されて(その作業は)完了している」という意味の選択肢が与えられる場合があります。この2つの文法パターンの違いを理解してその行為が現在行われている最中なのか、すでに完了しているのかを聞き取れると、正しい選択肢を選べる可能性が上がります。
パート2:応答問題
TOEICリスニングパート2は、一つの問いかけまたは文章に対する応答として最も適切なものを3つの選択肢の中から選ぶ問題です。パート2はパート1に比べるとリスニングの時間が長くなります。会話の流れをよく聞き、ポイントを理解し、その自然な流れの上での応答を選択する必要があるため、、集中力を切らさずに英語の音を聞くことが重要になります。
■パート別対策ポイント■
パート2の質問文は疑問詞を聞き取ることがカギになります。where, what, who, why, howなどの疑問文の最初の単語を聞き逃さず、何を聞かれているのかをしっかり把握しましょう。
日本語話者には母国語の特性上か、文末に意識を集中してリスニングをする傾向がありますが、英語では文頭を聞き逃すと問いの意味がわからなくなってしまいます。
また、TOEICでの英語の応答は教科書調ではなく、自然な会話を再現する問いと答えが多く見られます。そのため、例えば Why で始まる問いに Because で返答する選択肢が正しいとは限りません。また、リスニングの文章が長いため、全てを聞き取ることは至難の業です。会話の流れやシーンを頭の中で意識して全体像を掴むようにしましょう。
パート3:会話問題
TOEICリスニングパート3は2〜3人の会話を聞いて設問に対し解答を選択する会話問題です。パート1やパート2と比較すると会話のスピードの速さや、情報量の多さから初心者にとっての難易度はかなり上がると思われます。
また、2016年のTOEIC改訂で3人の会話がパート3に導入されましたが、この点に関してはそれほどTOEIC受験準備や英語学習の悩みとはなっていないようです。 このことは、3人の会話が導入された2016年以降もTOEICリスニングパートの平均点にほとんど変化が見られていないことからも推測できます(TOEIC公式テストリスニングパート平均点:2015年:264点、2016年:262点、2017年:261点、2018年:259点, 2019年:265点:この5年間のリスニングセクション平均点は262点で増減は±3)。 話者が3名の問題では必然的に相手への名前での呼びかけが会話に含まれるため、それが聞き取れる人にとってはむしろ取り組みやすい問題となっている可能性もあるようです。
■パート別対策ポイント■
会話のペースを聴きながら全てを把握することは難しいため、話者の最初の発言に注目して、会話のシーンを早い段階で思い浮かべることがパート3のリスニングのカギとなります。
また話者のトーンや話し方も会話のストーリーを見極める要素の一つとなるので、これらも参考にしながら会話のストーリーをできるだけ把握できるようにしましょう。
パート4:説明文問題
TOEICリスニングパート4は、アナウンスやナレーションを聞いて設問に対し解答を選択する問題です。
パート4のアナウンス問題は公共アナウンスやお知らせが題材なので、必然的に話の流れがつかみやすいものが多く、典型的なパターンや設問内容を前もって学習して準備をすることができるパートです。
よくある問いの例として話の目的、話者の依頼、話者が誰か、会話の場所、これから起こることが上げられます。
〜「これから起こること」の例 〜
問:What will happen in five minutes? (5分後に何が起こりますか?)
A) The ship will arrive at the dock. ( 船が埠頭に到着します。)
B) The passengers will go shopping. (乗客は買い物に行きます。)
C) The passengers will take photos of the ship. (乗客は船の写真を撮ります。)
D) The market will open. (マーケットが開かれます。)
■パート別対策ポイント■
パート4はパート3と同様、全てを聞き取ろうとするのではなく、全体像を聞き取る方が効率的です。パート3の対策ポイント同様、英語は文章の初めに要点がくる言語なので、話者の最初の発言に注目することを心がけましょう。また、事前に確認した質問・解答の選択肢を頭に入れながらリスニングすると会話内容の把握がしやすくなります。ある程度問われる問題が予測しやすいパートですので、前もって頻出パターンを認識した上でテストを受けることをお勧めします。
【TOEICリスニング対策②】:リスニング全般の対策法
パート別の対策法や注意する点を見てきましたが、次にリスニングパート全般に当てはまる英語の聞き取り対策について詳しく見ていきましょう。リスニング力を総合的にあげるとTOEICのリスニングパート別対策をさらに促進してくれる原動力になります。
多くの英語初心者にとって英語が聞き取れない理由は2つあると考えられます。
- ① 音声に対応できていない場合
- ② 話されている英文自体に馴染みがない場合
この2つの理由について詳しい対策について見ていきましょう。
① 音声に対応できていない場合
まず「① 音声に対応できていない場合」への対応策としては以下を試してみると良いでしょう。
- リスニング時に文を見ながら声を出して言ってみること
- 慣れてきたら文字を見ずに音声を聞き、理解できるか試す
1.については小さな声でも構いません。書かれた英単語(スペル)・英文と音声のギャップを発声を通して体感しましょう。どのようなところで音の欠落やつながり・変化(リエゾン)が起こっているでしょうか。それができたら、2で力試しです。ここで英語音声を聴きながらほぼ同時に言ってみる「シャドーイング」をすることができ、意味もわかれば理想的です。
この練習を取り入れることで、受動的に聞いていた英語を能動的に学習することができると言われています。まとめると、英語が聞き取れない場合の対応策としては、話されている英文を知るとともに、音声にも慣れるために声を出し体感することが有効です。
② 話されている英文自体に馴染みがない場合
一方、聞き取れたのに内容を覚えていられない場合「②話されている英文自体に馴染みがない場合」と考えられます。この対策としては、英文を読み、意味を理解することに慣れる必要があります。英文を聞いた時、どのように意味を理解していますか。もし聞き取った英文を日本語に訳している場合は、今後はできるだけ英語の語順で理解できるよう練習が必要です。音声とスクリプト付きの教材で次の順番でTOEICに向けてのトレーニングをしましょう。
- 英文を英語の語順で読み、理解する
- 英文を英語の語順で聞き、理解する
「1. 英文を英語の語順で読み、理解する」に慣れてきたら「2. 英文を英語の語順で聞き、理解する」に挑戦してみましょう。
当たり前のように響きますが、日本語に訳さずに理解することができたらTOEIC対策だけでなく、実務での英語の使用に向けての大きな前進となります。このための教材は内容が理解できるもので、かつお手本となる音声がついているものがいいでしょう。難しいと感じる場合は、まずは一文一文が短めのTOEICリスニングパート2や3の会話問題がおすすめです。
リスニングのコツは、どの問題も情景を思い浮かべながら聞き、リスニング内容をストーリーとして頭に残すことです。集中力を切らさないように聞き、解答に進みましょう。
前述の公開テストでは、問題の選択肢の先読みをするというリスニング解答方法が使えますが、現在さらに一般的になりつつあるIPオンラインテストでは「先読み」はできません。
しかし、この状況は本来のビジネス英語使用環境により近いものと言えます。 事前に情報が得られない状況でも会話の内容を聞き取れるようになることがベストです。
試験本番のために
これまでにも述べてきましたが、ストーリーをイメージしながら聞く・読むことは内容を頭に留めておく上で大変重要です。日頃の英語学習時から心がけ、試験本番でも取り組みましょう。
最後に、試験前日はしっかり睡眠をとって試験に備えましょう。試験前日に関しては、最後に詰め込み学習をするよりもしっかりと休むことを優先させましょう。ゆっくり休んで良いコンディションで当日を迎えることができたらあとは可能な限りTOEICテストを楽しむのみ。試験中は楽しい気持ちで各問題に取り組みましょう。
例えば、パート1はどんな写真が出てくるのか、ワクワクしますね。パート2ではクスッと笑わせてくれるユーモアのある選択肢も出てきます。パート3、4では予想のつけやすい話やアナウンスの展開に「やっぱり!」と相槌を打つような気持ちで聞き入りましょう。TOEICの勉強に取り組んできた人にとっては、かつて模擬試験で聞いた・読んだようなテーマに同じような話の展開が見られるはずです。悪人も犯罪も登場せず、問題といえば公共交通機関の遅延やキャンセル、オフィスで使う備品の不達などの対応可能なもの。また、不思議と登場人物に子供や老人は滅多にいませんし、恋愛や宗教の内容もありません。
こんな不思議なTOEICワールドを試験時間いっぱい、楽しみましょう。
これが楽しめるのはTOEIC準備をしっかりしたあなたです。
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